昨今における眼鏡のクラシックブームの火付け役となったブランド「泰八郎謹製(タイハチロウキンセイ)」。眼鏡職人・山本泰八郎氏から生み出される眼鏡は、古の素材「セルロイド」の魅力を最大限に引き出した永遠の定番アイテムです。
福井県鯖江市に伝わる「ノー芯製法」という伝統製法から、一点一点時間をかけて生み出される眼鏡は、国境を越えて世界中の眼鏡ユーザーを虜にしています。
今回は眼鏡の産地・福井県鯖江市を代表する眼鏡職人のブランド「泰八郎謹製」を詳しくご紹介したいと思います。
出典元:https://kaneko-optical.tumblr.com
プロフィール・経歴
本名は山本泰八郎(ヤマモトタイハチロウ)。昭和17年福井県鯖江市生まれ。現在78歳!
泰八郎氏は漆器職人の父を持ち、中学卒業後セルロイド職人に弟子入りしセルロイドフレームの眼鏡製作を始めたそうです。16歳から眼鏡職人を始められたということなので、60年以上も眼鏡を作り続けていることになります。
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そして、今の「泰八郎謹製」というブランドが誕生したのが、泰八郎氏が55歳の時。泰八郎氏が造る眼鏡の仕上がりに「金子眼鏡」が惚れ込み、職人の名を冠した「職人シリーズ」でデビューすることとなりました。55歳というと一般的には定年退職もチラつく年齢ですので、「職人」という職業の難しさ、厳しさ、奥深さを感じます。
「泰八郎謹製」の素材・製法
泰八郎氏の眼鏡は全て古の素材「セルロイド」で作られています。
セルロイドとは1856年に生まれた歴史上初の人口樹脂であり、加熱すると柔らかくなり冷却すると硬化するという特徴があります。また、一般的に石油を主原料とするプラスチックが多い中で、セルロイドは綿やパルプなどの植物繊維素を主原料に製造されているのも大きな特徴です。
泰八郎謹製で使用されるセルロイドは「3年以上寝かせたセルロイド」のみを使い続けているそうです。3年間素材を寝かせることで変形が少なくなり、テンプルに金属芯を使用しない「ノー芯製法」という伝統的な製法が可能になります。
泰八郎氏のように全ての工程を一人でこなすことが出来る職人は鯖江の中でも稀有な存在で、丹念に磨くこと生まれるセルロイド特有の温かみのある質感が最大の魅力です。
「泰八郎謹製」の構造・ディテール
泰八郎謹製は全て「5枚丁番」という堅牢な丁番パーツが使われています。
「丁番」とは眼鏡のフロントとテンプルを繋ぐパーツで、近年は細身のデザインが多いことから多くのブランドが「小型丁番」を用いることが多いのですが、無骨な「5枚丁番」を使用することでフレームの広がり、変形を防ぎます。また、掛けると誰からも見えない部分ですが、この無骨さがクラシックな雰囲気を高めてくれます。
ちなみに泰八郎謹製の掛け心地は正直良いものではありません。古くから伝わる伝統製法で造っているため、掛け心地に柔らかさはなく「硬く・重たい」です。しかし、ヴィンテージフレームのような掛ける人を満足させる「味わい」や「匂い」を感じる仕上がりとなっており、多くの眼鏡ファンを魅了し続けているように思います。
「プレミアライン」と「エクスクルーシブライン」
現在、泰八郎謹製は「Premier(プレミア)」ラインと「Exclusive(エクスクルーシブ)」ラインでの販売となっています。
「Premier」がフロントに存在感のあるシルバー925のカシメ飾りが付いており、金子眼鏡直営店とPORKER FACEなどの全国のセレクトショップでも展開しています。
「Exclusive」ラインは逆にシンプルなデザインです。「Exclusive」ラインは金子眼鏡の直営店「金子眼鏡店」だけの限定的な展開となっており、生産数も少ないことからフルラインナップで揃うことはほとんど無いそうです。
Premier(プレミア)ライン
出典元:https://www.flickr.com/photos/kaneko-optical/sets/72157673952762142/
モデル■Premier-1
価格■52,800円(税込み)
「王冠」を模した存在感のあるシルバーが特徴の「Premier-1」。発表から10年以上経ちますが全く色褪せないデザインです。まさに永遠の定番モデルと言えるでしょう。
出典元:https://www.flickr.com/photos/kaneko-optical/sets/72157680360987945/
モデル■Premier-8
価格■52,800円(税込み)
プレミアラインの最新モデル「Premier-8」では、泰八郎謹製では珍しいボストン型です。全体的に程よいボリューム感で仕上げられており、シーンを選ばずに使える万能モデルです。
Exclusive(エクスクルーシブ)ライン
出典元:https://www.flickr.com/photos/kaneko-optical/sets/72157666783721361/
モデル■Exclusive-5
価格■ 41,800円(税込み)
セルロイドの魅力を最大限に引き出したシンプルなデザインが特徴のモデル。価格がプレミアラインに比べて1万円程安く手に入るのはかなり嬉しい!
「泰八郎謹製」まとめ
実は泰八郎謹製は私が眼鏡に興味を持つキッカケともなった眼鏡。購入から10年以上経った今でも愛用しています。泰八郎謹製の眼鏡は重たく硬いですが、ピタッと顔にハマる掛け心地で長時間かけていても不思議とストレスがありません。
数年に一度、定期的にメンテナンスをすることでさらに永く愛用できるそうです。私も少し光沢が落ちて、白く変色してきたらメンテナンスに出すようにしています。
泰八郎謹製は今年なんと6,000円の値上がりがあったということですが、「セルロイド製」の眼鏡は、世界的にもかなり希少となってきているため、今後さらに値上がりすることも考えられます。
10年経っても色褪せない伝統工芸品ともいえる「泰八郎謹製」。手に取るとその不思議な魅力に引き込まれますよ♪