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999.9(フォーナインズ)の時代は終わったのか?【評判と動向】

ビジネス眼鏡の定番といえば「999.9(フォーナインズ)」を思い浮かべる人は多いと思います。毎月のように雑誌で特集が組まれ、ビジネスマンのほとんどがフォーナインズを掛けている時代もありました。しかし、眼鏡業界に本格的なクラシックブームが訪れたことを境に、業界トップに君臨していたフォーナインズの地位は揺らぎます。今でも根強いファンも多く存在し、確かなクオリティの眼鏡を作り続けていますが以前ほど眼鏡業界でフォーナインズの噂は耳にしなくなりました。果たしてフォーナインズの時代は終わったのでしょうか?

 999.9とは…

999.9(フォーナインズ)は1995年に誕生した日本の眼鏡ブランドです。ブランド名は純金のインゴットに刻まれた999.9という数値に由来しており、最高純度の品質という意味があります。

海外インポートブランド全盛期、「デザイン」が重視されていた時代にフォーナインズは突出した「掛け心地」で一躍有名となりました。日本人の骨格や顔のつくりを考え抜いたデザインで、ストレスを感じない心地よさを実現。所ジョージをはじめ芸能人や多くの多くの著名人に支持されるブランドとなりました。

フォーナインズの眼鏡は「シンプル」なデザインのモノが多く、そこにはフォーナインズの「機能を追求した先に美しいデザインがある」というデザインの理念があります。特に強度と弾力性に優れた「ヒンジ」に見られるフォーナインズの掛け心地を追求した機能は、眼鏡の究極のデザインとも言えます。

 

創業者・三瓶の離脱…

フォーナインズのデザイナーであり、創業者の一人である三瓶哲男(みかめてつお)氏。三瓶氏は眼鏡の専門学校を卒業後に老舗眼鏡店に就職するもこだわりが強く、生意気な性格のため眼鏡店を解雇されています。その後、福井県の生産工場で眼鏡の企画開発に携わりますが、ここでも職人と衝突し解雇されています。三瓶氏は当時から「掛け心地」を追求した眼鏡開発に取り組んでおり、市場に三瓶氏が望む機能を満たした眼鏡が無かったことから、1991年三瓶氏が33歳の時に現在のフォーナインズの前身である「フォーナインズラボラトリー」を立ち上げています。

その後のフォーナインズは三瓶氏の「掛け心地」や「機能」に対しての強いこだわりが20〜30代の男性に支持され、2000年代には日本においてナンバーワンの地位に上り詰めます。そして、2008年フォーナインズ全盛期に三瓶氏は自身が中心となって立ち上げたフォーナインズを去ります。

三瓶氏が去った後も数年間はフォーナインズの地位は保たれましたが、ビジネス眼鏡のカテゴリーでも「クラシックブーム」が浸透してきたところで、フォーナインズのブランド力は揺らぎ始めます。

 

時代はクラシックブーム…

2000年代、泰八郎謹製やモスコット、オリバーピープルズなどと続々とクラシックなデザインの眼鏡が台頭する中でも、着実にファン層を獲得してきたフォーナインズ。しかし、三瓶氏の離脱を契機にフォーナインズはこれまで展開していなかったサングラスライン「フォーナインズ・フィールサン」を発表したり、流行を追うようにクラシックなデザインの新作を発表するなど、三瓶氏が作り上げてきたデザインのアイデンティティがブレはじめました。

ちょうどこの頃からフォーナインズの人気に陰りが見えはじめ、全国の眼鏡店で仕入れを縮小する傾向となりました。

999.9の今後…

フォーナインズの創業者である三瓶氏はブランド発足時「品質が良いモノは勝手に売れる。眼鏡屋に頭を下げたところで眼鏡が売れるわけではない。」と強気な姿勢を貫き、ブランドを築き上げました。

これまで多くの眼鏡ブランドが話題となり、そして消えていきました。しかし、フォーナインズはそれらとは圧倒的に違う「品質」があります。

しかし、時代は変化し消費動向は「モノ消費」から「コト消費」への移り、最近では「コト付きのモノ消費」へと変化していると言われています。私はフォーナインズはこの消費動向の変化にマッチング出来ていないように感じているのです。

確かに良いモノには惹かれます。しかし、今の時代は例えどんなに優れた商品でも、企業のアイデンティティや、商品の背景で消費者の共感を得なければ多くのファンを獲得できない時代です。流行ばかりに気を取られるのではなく、商品から伝わるフォーナインズのアイデンティティが復活することを私は願っています。